HAKUKINとHAKKIN


前回の追記ですが、大正時代に「白金」を「ハクキン」と読む、あるいは「白金」に「ハクキン」とルビをふった例は皆無ではなさそうだということが分かりました。ただ、圧倒的に多かったのはハツキンです。当時は今より表記の揺れが多かった時代だったので、そういう書物とかもあったのでしょう。

さて今日は英文表記のHAKUKINとHAKKINです。実はこの2つ、混在して使われていて、たとえば今、カイロについている袋には「HAKKIN」と書いてあるけど、ハクキン公式ツイッターアカウントはhakukinを使っています。

歴史的に見ると、戦前は英文表記はあまり使われず、使うときは大文字で「HAKUKIN」でした。
戦後に本格的に輸出するようになったときは、「PLATINUM」とかを使っていましたが、商標上の問題が生じたのか、あるいは「PLATINUM」では商標がとれなくて他社製と識別できないと考えたのか、「PEACOCK」を使うようになります。
ただしその時代は製品パッケージにはPEACOCKロゴはついているけれど、製造会社名としてははっきり表記されず、現地の販売業者名がでかでかと印刷されていることが多いです。
株式会社矢満登商會時代末期、だと思います。コンパクト(海外向け名称は#CL1)が登場します。この機種は国内向けには「ハクキン」と書いてありますが、海外向けには「PEACOCK」とあり、そしてフタをあけると「Hakkin」の刻印があります。(ないものもあります)
Hakkinはこの頃から本格的に使うようになったと思われます。

そして、株式会社矢満登商會がハクキンカイロ株式会社に社名変更した際、英文表記は「HAKKIN WARMERS CO.,LTD.」になります。ここから正式に本格的にHAKKINが使われるようになり、たとえば点火芯付Aのような国内向け製品にもこの文字が印刷されるようになります。

その後、ハクキンカイロ株式会社はいったん株式会社ハクキンに社名変更をします。このとき、社名の英文表記は、国内向けは「Hakukin Corporation.」になりますが、海外向けの英文表記は「HAKKIN WARMERS CO.,LTD.」のままでした。海外向けは表記を変えると別会社と思われるかもとかいう理由があったのかもしれません。

そして株式会社ハクキン時代は、製品に刻印されている文字も「Hakukin」や「HAKUKIN」になります。こはるとBMは全ロットが「Hakukin」刻印だし、3Rにも「HAKUKIN」刻印のものが存在します。

そして、株式会社ハクキンは、再度社名をハクキンカイロ株式会社に戻します。これに前後して、「HAKKIN」を使うようになります。レギュラーモデルはこの少し前に3RからPEACOCK STANDARDになりますが、3R末期に既に袋の文字は「HAKUKIN」から「HAKKIN」になり、「HAKUKIN」はどんどん使われなくなっていきます。

ただ、不思議なのは、社名をハクキンカイロ株式会社に戻したあとも、社名の英文表記は、国内向けは「Hakukin Corporation.」、海外向けは「HAKKIN WARMERS CO.,LTD.」のままだということです。

結論からいうと、かなり昔から「HAKUKIN」、「HAKKIN」は両方使われているということです。

ただ、気になることがあります。それは、ハクキンカイロ株式会社の所有する商標類のことです。
今までは「HAKUKIN」、「HAKKIN」両方を持っていて、保持し続けていました。が、最近どんどん「HAKUKIN」商標は捨てている、つまり、実をいうと「HAKUKIN」は、既にハクキンカイロ株式会社の登録商標ではないのです。
じゃあ、他社が「HAKUKINカイロ」とか売り出したら訴えられないじゃないかというと、そういうわけではなくて、「HAKUKINカイロ」は、当社が持つ商標「HAKKIN」に類似しすぎている!という理由で販売差し止めを求めることはできるので、それほどは困りません。商標は所有し続けるだけでも金がかかるので、あるていど持っている商標を整理するのは企業として当然とは思いますが、サイト作者的には残念です。
また、他社が「HAKUKIN」を商標登録しようとしても、既に存在する「HAKKIN」に似すぎているという理由で却下される可能性は大です。また、登録されそうになっても、ハクキンカイロ株式会社は異議を唱えることもできるので、そういう対応で十分だと考えているのでしょう。
なお、商標は分野がいろいろあり、同じ商標でも分野が違うと別々に商標登録しなければなりません。ハクキンカイロの場合、カイロ分野はもちろん、燃料分野でも登録しなければならないし、似た分野でも登録していくと、どんどん金はかさみます。

今もほんの少しだけHAKUKIN商標は残っているのですが、それは何らかの事情で「HAKKIN」の商標がとれなかった分野とかに限られているようです。


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