松下電器が出した、ガスを使う暖房機です。
説明書には「ナショナルコードレス温熱ベルト」とあります。製品には「HOT BELT」とあります。現在は製造されていない製品です。
型番はNQ-HB10、と書いてありますが、本体にはNQ-HB10/Bとあります。たぶんカラーバリエーションでしょう。
上部下に敷いてあるのが説明書、箱に入っているのがガスボンベ(松下では、ガスフューエルと表記)です。ただし、このボンベをそのまま装着するわけではなく、隣にある小さなガスカートリッジにガスを移し、ベルトの中に入れて使います。
本体の表側です。ヒモのようなものはリモコンで、暖かさを調節します。
内部です。白くて丸いものがさきほどのガスカートリッジです。
中の機構部分を出したところです。
四角い箱のようなものが2つ横につながった形をしています。右の箱の右側にガスカートリッジが、その左に単三電池が2つ入ります。
左の箱が実際に発熱する部分です。炭素触媒を使用していたそうです。
左の箱から左に延びる棒のようなものは吸気穴です。
この製品は、使用者らの当時の記憶から再現すると(素直に松下電器に聞けよ....)、1998年の長野オリンピックに合わせて開発・発売されたもので、当時はオリンピックモデルもあったらしい、とのことでした。この製品の保証書スタンプは1999年1月上旬でした。オリンピックが終わった次の1998年末に製造されたものでしょう。
持続時間は、スイッチを「高」にして10時間、「低」にして20時間です。(燃料は1回12g使用)
普及しなかった最大の理由は、たぶん、価格と重量です。使用者によると、当時で23940円したそうです(ガスボンベ2本付き)。重量も615gあります。試しにハクキンカイロ3R+ハクキンベルトの重量を計ったところ、同じように燃料を12g入れても110g以下でした。(参考のため、ハクキンカイロ3R+ハクキンベルト+ハクキンベンジン1本では、当時の価格で3500円程度)
使用する燃料の質量はハクキンカイロとほぼ同じ、ということは、発熱量もハクキンカイロ3Rとほぼ同程度だとみてよいと思います。ただし、当時、松下は、発熱量は使い捨ての20倍と言っていたそうです。ハクキンカイロは13倍ですから、(2社がどういう基準で熱量を測ったのかよくわかりませんが)ハクキンカイロよりはこの温熱ベルトのほうが熱量が高かったのかもしれません。もっとも、ハクキンベルトに3Rを2個入れても、それでもハクキンカイロのほうが安くて軽かったりしますが。
使用者によれば、確かにハクキンカイロよりは暖かかったそうです(特に雪の降るような気温のとき)。ただ、かさばるのであまり使わなくなってしまった、ということでした。
ちなみに、説明書の住所には「松下電器産業 アイロン事業部」と書いてありました。
ガスボンベは、ただの岩谷産業のカセットこんろ用のボンベと同じようなものが使われています。ただし、中のガスはブタン100%の寒冷地向け仕様でした。220g入りです。
松下純正のガスボンベは、まだ入手可能のようですが、店頭にはほとんどないので、今使っている人は、適当にそのへんのこんろ用ボンベを使っちゃっているようです。ちなみにPL法施行前の製品なので、他社製ガスを使って何かあっても知らねえよ、みたいな断り書きはついてませんでした。(故障の原因になる可能性があるとは書いてあります)
ほかにも、2000m以上の高地では使えないかもしれないとか、寒冷地でいったん消えたあと再点火しようとすると凍結していて着かないことがあるとか(いや、それじゃ困るって)ずぶ濡れにするなとか、ボンベは飛行機には持ち込めないので旅先で専用ボンベを買えとか(売ってるのか?)書いてありました。
後継機としてNQ-HB12とNQ-HV30というのがあったようです。12は上記の10の軽量化モデルのようです(それでも450gありますが)。30は背負うタイプだったようです。どちらも終売です。型番の「B」はベルト、「V」はベストの意味でしょうかね。2002年ごろまでは売っていたようです。使用者によると、ベストのほうが使い心地がよい、らしいのですが、とても高かったのでベルトタイプを購入したということでした。
松下電器公式サイト(後継機のNQ-HB12/Mの紹介。なお、この機種もすでに終売です)
松下電器消耗品直販サイト(ガスフューエルが今でも注文できるようです。(価格780円))