前回で終わりなんじゃなかったのかよと言われそうですが、今回と次回は何というかあとがきみたいなものです。
この連載、まず使えそうなアイテムの写真をひとまずまとめて全部撮っておいて、あとから文章を書いてアップしていました。前述したとおり、そうでないと、きとうコレクションを開けるだけでひと仕事だからです。
でも、連載(?)中、何か反響とかあったらリアクションしなきゃならないだろうと思い、コレクションはわりとすぐに開けられるようにはしてあったのですが、思った通りというかそもそもカイロのオフシーズンなんかに公開するのが悪かったのですが、反響は全くありませんでした。
そしてきとうPEACOCKコレクションは、再び、長く、そして深い眠りにつきます。
いつか誰かが、これを必要とする日まで。
しばらくこれを見ることもなくなると思うと、せめてパッケージだけでももう少しだけ紹介しておこうとも思うし、あと、書いてきた内容と紹介していたものが微妙に異なるんじゃないかとか、もうちょっと説明しなきゃならないものもありそうなので、今回はこちらの紹介です。
ハクキン眼爐

ハクキンカイロ公式サイトにも紹介がある製品です。
これを今回紹介する理由は主に2つ。
きとう氏は最晩年まで熱心にハクキンカイロを集めていたと書いてはいましたが、今まで紹介してきたものはほとんどが2003年から2007年くらいまでのもので、最晩年に近いものはなかったのです。
理由はある程度想像できて、もちろん、持病の悪化が最大の理由だと思いますが、たぶん主な理由は、最初期にある程度のものをまとめていっぱい集めてしまったからだと思います。
コレクションがある程度充実すると、オークション等で出てくるものが、既に入手したものばかりになる。同じ物をいくつも入手してもなあ、という感覚になるというのは、ある程度分かります。
この品についている日付はどちらも2011年。ほぼ最晩年のものです。氏が亡くなるのは2012年ですが、2012年は既に氏は入退院を繰り返していて、もうコレクションどころではなかったと思います。以前お話した2011年末のZippoのイベントに登壇したときも、文字通りカンフル剤か何かで無理矢理立っていたような状況だったようです。とにかく、氏が最晩年近くまで熱心にハクキンカイロを集めていたことは、この品からも分かります。
そしてもう一つ。氏は結構強気な値段をつけていた、というようなことを書いたのに、紹介した品の金額は皆4桁、せいぜい新品ハクキンカイロ数個分くらいの値のものだけでした。けれどそれではやっぱり氏が結構強気な値段をつけていた、そして、欲しいものはとにかく欲しい人だった。それがよくわからないではないかと思い、こうして紹介した次第です。
なおこれは氏のコレクション最高額ではありません。
この2品は、2品セットでプラスチックケースに入っていました。氏のコレクションの中でも、こんな特別なプラスチックケースに入れられていたのはこの2つだけで、相当にこの品がお気に入りだったことが、そして、相当な金を積んでも、これが欲しかったんだということがよく分かります。しかもこの2つ、ロット違いなのです。そもそも箱の大きさがまず違うというのが、この写真でも分かると思います。
ハクキン眼爐は思ったより発売期間が長いらしく、こんな値がついてしまったあとで、この製品のロット違いまで詳しく調べていったら、いくら金がかかるか見当がつきません。こういうコレクション品を見ると、やっぱりサイト作者はコレクターではないし、コレクターにはなれないと思うのです。
さて、肝心のハクキン眼爐の紹介ですが、文字通り眼を温めるカイロです。そんなものが必要だったのか、そもそも効果があったのかとも思いますが、当時の広告にある五大大学病院御採用みたいな煽り文句を見る限り、ある程度は効果があったようです。今でも他社から温熱アイマスク的な使い捨てカイロが発売されているところを見ると、当時からずっと需要のある商品だったのはわかります。戦後の広告や説明書からはハクキン眼爐の紹介がなくなるので、恐らく大阪大空襲のときに型とかが焼けてそれっきりになった製品だったのではないかと思います。
見えにくいですがメモにある「(M.I.B.)」という略はコレクター用語で箱つき完品の意味で、ある意味コレクターが欲しがる最上位だそうです。製品そのものは持っていても、MIBが出てきたら別に購入する価値があるくらい、そちらの世界では重要視される要素のようです。なお最上位と書きましたが、コレクターの世界ではさらにその上位「新品未開封」があります。ただ、ハクキンカイロ製品には封のないものが多いです(当サイトでサイト作者が封を切って点火した戦前型のように、封があるものもあります)。