気のせいか毎年クリスマスになるとハクキンカイロ公式が何か突飛なことを言い出す気がしますが、今年は毎年恒例のハクキンカイロお怒りのネタ、
Zippo Handy Warmer(ジッポーハンディウォーマー)でした。
2002年モデルと2003年モデル以外にはハクキンカイロ(当時の商号は株式会社ハクキン)は関わっていない、と、かなりはっきり断言したのですが、
公式の言っていることが少し当時の状況とかみ合わないところがあるので一応整理してみます。当サイトZippo編も併せてごらんください。
公式の言い方だと
(1) ZIPPO社へのOEM提供は2002と2003年モデルのみ
(2) 2005年以降パッケージのストラップ付きモデルには関係していない
(3) 当時の火口の触媒はハクキンカイロ製の触媒が入っていて、見た目はハクキンの火口と同じでロゴだけジッポ
というのですが、かみ合わない1つめは、(3)。Zippo2002年モデルの火口(Zippo側の用語はバーナー)は、当時の互換機であるハクキンBM火口と形状が違うし、Zippoロゴもないのです。2003年モデルの火口にもZippoロゴはありません。2004の火口にはZippoロゴがあります。「見た目は弊社の火口と同じでロゴだけジッポ」が正しいのならば、「2002と2003はこの記述に合わない(そもそもZippoロゴがない)のでハクキン製ではない。2004は記述に合う、つまり2004の火口はハクキン製」という意味にとれてしまうし、それだとその前の発表「ZIPPO社へのOEM提供は2002と2003年モデルのみ」と整合性がないのです。
ハクキンの発表の後、もう一度2003年モデルと2004年モデルを見比べましたが、やっぱり全く見分けがつきませんでした。当時サイトのほうに書いたとおりで、Zippo2004は火口にZippoロゴがつくようになって、パッケージを開けなくても、フタの穴からロゴの「pp」部分が見えるので見分けがつく、というのと、注油カップがハクキンカイロ3R(当時)と同じものだったのが、じょうろ式に変わったというところです。これに合わせて説明書の注油するところの説明も変わっています。当時はバーコード部分の書体が違うと書きましたが、保存していたものは2003も2004も同じでした。バーコード自体は同じ番号です。
そしてもっと重要なのは、火口の触媒部分も見た目は全く同じで見分けがつきません。濃い灰色がかった、少し色にも濃淡があるふわふわのガラス繊維でできています。これは2005年モデルも同じです。言われてみると、2004のほうが少し色が濃い、具体的には焼け焦げたような色になっています。2005年モデルも同様ですが、ハクキン純正火口も年によって色合いとかだいぶ違うので、これがOEM元が変更されたためなのかは分かりません。ガラス繊維部分のつくりは素人目には見分けがつきませんでした。
このほか、2003年モデルは火口の裏の留め具に長方形の切り欠きがついていますが2004年モデル以降はありません。ただ、同時期のハクキン純正火口でも同様の形状変更が行われています。
2005年モデルの火口は、裏に年号「05」があるところから見分けがつきますが、火口の「Zippo」ロゴの位置も2004年モデルと少し違うようです。2006年モデルになると年号刻印もなくなってZippoロゴの場所も2004年モデルに近い位置に戻りますが、(これも当サイトに書いてありますが)それまでとは触媒のつくりがはっきりと変わります。具体的には、白っぽいマットの上に、触媒を塗るか貼り合わせたような感じのつくりになっています。このタイプの触媒は、ハクキン純正品にはありません。
2003と2004の本体は、目を皿のようにして見比べてみましたが、違いは見つかりませんでした。わずかに違うところもあるのですが、個体差に埋もれそうな違い、というか、個体差のようです。
2005年モデルは並べて見ればわずかに違うくらいのレベルの違いはあるので、型は新たに起こしたようです。
もうひとつ謎なのは、「どこまで製品供給したのか」です。あのハンディウォーマーの製造をまるまる全部ハクキンが引き受けたのか、火口だけ供給したのか、それとも触媒のみ供給したのか。ウォーマー本体は作っていて、説明書や箱詰めはマルカイがやったのか。見た感じ、2002と2003のカップはハクキンのものをそのまま使っているし、特に2003のカップはハクキンのパテントナンバーまで入っているので、あのカップをハクキンが提供したのは間違いないと思います。説明書の注意書きとかはカイロを作ったことのない業者が一から作ったものには見えないので、ハクキンの説明書を下敷きにしたのは間違いないでしょう。ハクキンが全部作ってイラストとかをマルカイが準備したのか、マルカイがハクキンを参考にして作って念のため発売前にハクキンにも見てもらったのかどのくらいのレベルかは分かりませんが。
それと不可解なのはハクキン公式がずっと相手方をZippoと呼んでいることなのですが、たぶんそのときの相手はアメリカのZippo本社ではなくて、Zippoの日本代理店のマルカイコーポレーションだと思います。
ハクキンカイロ公式の断片的な3つの言及とロット差から考えると、
ハクキンはZippo2002と2003に火口(と、たぶんベンジンカップ)を供給した。カップがハクキン純正のものと違うものになった2004以降はハクキンは関係なし。本体はハクキン製かどうかは不明。
というふうに読むのがごく当たり前かなと思います。
ただ、2004に関しては本体のつくりも触媒の作りも見た目ぜんぜん変わらないし、「見た目ハクキン火口と同じでロゴだけジッポ」という公式の言及に全くもって完全に一致なのでペンディングにしときます。
それ言い出すと2005も同じになっちゃうのですが、2005はハクキン公式が見ただけで違うとか言ってるのでたぶん本当に違うのだと思います。
どっちにしてもハクキンが関係しているのは2002と2003だけと言われた時点で、そのあと某Zブランド(いやそれ隠しても無駄)ずーっとコピー品みたいなものを売ってたのかみたいことを言い出す人が出てきそうですが、
当サイト作者は、ハクキン側の事情みたいなのもあったんじゃないかとも思います。
OEM商品が1台売れたときの儲けが自社製品が1台売れたときの儲けよりずーっと少なかったら供給し続ける理由は減りますし、とにかく当時すごい量のハンディウォーマーが店頭に並んでたので、あの分全部作るとなると、閑散期に片手間で作るというわけにもいかず生産ラインを別個に立ち上げなきゃならなくなるとか、わざわざ作ったライン、そういうOEM製品が売れなくなったらそのあとどうするのかとか、当時の社内事情とかもあったんじゃないかと勝手に思ってるのと同時にいろいろ察します。