火口が寿命を迎えるとき


火口が寿命を迎えるとき。突然全く使えなくなるとかいうことはほとんどなくて、たいていの場合、数日から2週間前から、予兆のようなことが起きます。具体的には、

1.極端に持ち時間が長くなったり、逆に極端に短くなったりします。
2.体感的にですが、温度がなんだか低くなります。
3.普段と同じ点火方法で点火できなくなったり、点火に失敗したりします。
4.燃料を入れるとき、あふれたりします。
5.火口のへりや裏側、タンクのフチの近くにべっとりとヤニがつきます。

これらの症状が起き始めたら、その火口はそろそろ寿命です。数日か、長くても2週間くらいでその火口は点火してもつかなくなります。すぐに新しい火口を用意したほうがいいというサインでもあります。

これらの現象が起きるのは、単純に、火口の能力が弱っているからです。
1.2.は、火口の力が弱っているので、低温でだらだらと長時間発熱が続くようになるのです。持続時間が極端に短くなるのは、火力が弱すぎて立ち消えが起きているからです。

3.の点火方法ですが、たとえば、今まではさっと、ほんの0.2秒くらい炎に火口をかざす程度で点火できていたのに、数秒間じっくりと炙らないと点火できなくなったりします。あるいは、点火して発熱したのを確認してから袋にしまって懐におさめたにもかかわらず、数十分後に、消えているのに気付くとかそういうパターンです。これも、火口の能力が低下しているために起きる現象です。
プラズマライターで点火しているときは、今まで点火できていたのに点火できなくなります。これも点火時間を少し長めにとることでなんとかなりますが、そのうちプラズマライターではどうやっても点火できなくなります。この時点ではライター点火はできますが、2週間後くらいにライター点火もできなくなります。

4.は火力の低下により立ち消えが起きていて、前回注油した燃料が残っているパターンです。時間きっちり反応していたと思っても、火力が低下しているレベルで通常の時間で反応がおさまったのならば、まだタンクに処理しきれなかった重質成分が残っています。

5.については、現代のちゃんとしたカイロ用ベンジンではこのようなヤニがつくことはあまりなくなりました。ホワイトガソリンを使うとつくことがあるかもしれませんが、最近のホワイトガソリンは有害成分除去をしているものが多いので、つかないかもしれません。

火口によってタイプは少々違いますが、昨日まで普通に使えていた火口が突如全く使えなくなることはなくて、そういう予兆がたいてい出ます。
そして、完全に点火不能になった火口の触媒部を光に照らしてみると、主に中央部が崩れて薄くなっているのが分かります。火口の劣化の主原因は、文字通り触媒部のガラス繊維が自身の熱によって溶けてなくなってしまう、つまり触媒が物理的に減少することによって生じるのです。

というのが当サイト作者の考えで、これでだいたい合っているのですが、これでは説明できない現象が起きているのです。それは、
火口の劣化が最後の1,2週間で急速に進むこと、そして、急速な劣化が始まる直前の触媒と、その触媒が完全に劣化して点火しなくなったときを比較すると、形状にはほとんど差がないのです。

もし、物理的に触媒が減少すること「のみ」が火口の劣化の原因ならば、最後の2週間でどんどん触媒が減少していくはずです。でも、そういう現象は起きないし、試しに点火不能になった触媒をつついてみても、すぐにぼろぼろっと崩れていくようなこともないのです。これは、触媒が物理的に減少すること「のみ」を劣化の理由にするのならば、ありえない現象です。

そこで思い出すのは、ヤニのことです。昔は火口が劣化して使えなくなる直前、火口やタンクのクチにべったりとヤニがつくことがありました。

火口にヤニがつくのなら、そのとき、触媒にもヤニがついているのではないか、そしてそれが末期に急速に劣化が進む原因なのではないか、サイト作者はそう考えました。

今やっている、そして遂に再生後35日目(1日約12時間使用)を迎えた火口も、まさにその仮説に基づいてやっています。具体的には、煤やヤニを落とす働きがあるアルコールを使用しています。アルコールはガソリンエンジンの洗浄剤の主成分でもあります。もちろんそちらは高温高圧下で使用されるものなのでカイロとはちょっと条件が違い過ぎますが、同じようにエンジン内のカーボン(煤)を落とす役割があるという点は同じなので、使えないかとも考えました。ただし、エンジン洗浄剤に使われるアルコールは主にIPA(イソプロピルアルコール)です。

当サイト作者がハクキンカイロ歴ン十年とはいっても、現行のマット式触媒を使用するようになってからはまだ20年くらいしか経ってません。そして、ハクキンカイロ公式は毎年火口を換えろとは言ってますが、サイト作者的には1年では火口はだめにはならないようです。仮に2年が寿命だとしても、20年間で寿命を迎える火口は10個程度。けれどそれらの大多数は洗ったり切ったりガスバーナーで焼き切る実験等で消費してなくなってしまったし、途中は某Zブランドのものを実験を兼ねて使っていた時期もあるので、純正火口で寿命を迎えたものは、サイト作者の手元にもそれほど数はありません。手元にあって使えそうな劣化火口3つは全部この方法で試してしまいました。次の劣化火口が手に入るまで、この再生方法の改良法を試せないのがちょっと歯がゆいです。

なお点火芯付A火口でもやってみましたがこちらはどうしても再生できません。