聖火輸送用モデル


いの氏から画像を送っていただきました。

聖火輸送用のハクキンカイロです。ハクキンカイロの正式な呼称は「聖火輸送器」です。当サイトではひとまずこの呼称を使いますが、2024年現在、ハクキンカイロは「聖火輸送器」という商品名は使っていないようです。

せっかくなのでご紹介しながら、当サイト作者が分かっている内容をご説明します。

ってまず聖火輸送器って何か、というと、オリンピックなどの聖火リレーを行う競技会などの際に、聖火を輸送するためのハクキンカイロです。ハクキンカイロ公式ホームページにも紹介があります。
サイト作者の知る限り、そんなものを製造販売している会社は日本ではハクキンカイロくらいしかないみたいです。

具体的には、1964年東京オリンピック、1998年長野オリンピック、2020東京オリンピック、2020年東京パラリンピック、1985年ユニバーシアード神戸大会、2005年長野スペシャルオリンピックなどで、ハクキンカイロ製の聖火輸送器が使用されています。
ただしそういう国際大会向けにしか出荷しない製品ではないので、国体とかでも使われているし、幼稚園の運動会で聖火リレーをやりたいとかいうときにも、販売はしてくれるようです。ただし完全受注生産品で、恐らく競技会ごとの特性に合わせてチューンナップした製品になるようです。

いの氏がお持ちの製品は、サイト作者が勝手に1998長野オリンピックモデルと呼称している製品のようです。実際、1998年長野オリンピックで使用されたモデルが、その後も標準的な聖火輸送器として出荷され続けているようです。

いの氏が入手された製品が元々どのような競技会向けだったのかは分かりません。なお、写真に載っているフタ、タンク、火口以外の袋やベンジンカップや箱、説明書類は、いの氏が中古で入手した時点で既になかったそうです。(追記)それらの付属品が出荷時に元々添付されていたかは不明です。

外観は下記の写真のように、ハクキンカイロGIANT(PEACOCK GIANT)です。GIANTに多少手を加えて加工してあるのが聖火輸送器になります。

この製品には点火インジケーターがついています。GIANTにインジケーターがついていた時代の製品かもしれません。

そして最も大きな違いは、火口(バーナー)です。通常のGIANT用火口に、横長のパイプがついています。パイプは、火口から一方向だけに少し突き出ていて、突き出ている部分は火口の長さの4分の1くらいです。
そしてこのパイプはそのまま火口の触媒部分に差し込まれており、その部分は細くなっています。そして、この細い部分には数カ所に穴が開いています。

聖火輸送器は、この、火口につけられたパイプにチューブを使って酸素ボンベを接続し、そこから酸素を送り込むと、触媒部に酸素が噴き出して、ベンジンに火がつくというしくみです。当サイトの実験編10でやったのとしくみもやっていることもほぼ同じです。
実際にこの方法で聖火に聖火輸送器の種火を移すと、当サイト実験10と同じように、恐らく火口は触媒が激しく損傷して1回ぽっきりの使い捨てになると考えられます。

火口の触媒部分です。パイプは火口のぎりぎり端をいったん切り開き、そこにパイプをはさみこんでいることが分かります。そんなにたくさん出荷されるようなモデルでもないし、おそらくこれらの加工作業は手作業で行われていると考えられます。

火口から触媒部を取り外してパイプ部分がよく見えるようにした写真です。
パイプにつけられた穴は3個のようです。ただしこの数は、出荷先が必要とする条件によっては異なる可能性があります。

下の写真で見る限り、パイプの反対側の端はふさがれているようです。そうでないと酸素が無駄に火口の外に出てしまうのでそれは当たり前なのですが。

こちらはいの氏がわざわざフタの内側を写してくださった写真です。
実際の聖火輸送器1998長野オリンピックモデルは、フタのクジャクの羽根が、左右下から2つずつ分がアルミテープでふさいであります。同様に、クジャクの胴体もふさいであるので、クジャクの胴体穴なし5本羽根モデルっぽくなっています。なお、当サイト作者は、アルミテープをフタの外側から貼っていますが、ハクキンカイロ純正のものは、内側から貼ってあります。
が、いの氏所有のものにはアルミテープははがした跡だけで貼られていなかったそうです。(自分ではがしたかもしれなくてそのへんの記憶はあいまいだそうです)
写真でははがし跡がちょっと分からないのですが….

火口にはPEACOCK/MADE IN JAPANの刻印があります。フタの右側に少し見えるのは、アルミテープのはがし跡でしょうか。

聖火輸送器に求められる性能は、その競技会によって少しずつ違っていて、高温多消費なかわりに絶対消えないことが要求される場合と逆に長時間火種を持たせる必要がある場合があります。
長野オリンピックのときに必要とされた性能は、長時間火種を持たせることだったので、GIANTにアルミテープを貼って長時間持つようにしたのが、この、サイト作者が勝手に1998長野オリンピックモデルと呼んでいるモデルです。

ハクキンカイロ公式サイトには何故か聖火輸送器現物の写真がないのですが、公式Xが以前話題にしていたのでそこへのリンクを貼ります。これは2005長野スペシャルオリンピックモデルですが、1998長野オリンピックモデルと恐らく同じモデルです。内側からアルミテープを貼ってフタの穴を減らし、クジャクの胴体穴なし5枚羽根モデルになっているのが分かります。
火口は映っていませんが。
あと、ハクキンカイロ公式はオリンピックとスペシャルオリンピックを混同してますが….

いの氏が送ってくださった画像データはもう少し解像度が高いのですが、wordpressが勝手にホームページ公開用に縮小してくれています。もう少し細かいところが見たいというような方がいらっしゃいましたらコメントください。

(追記)「聖火」は、IOCが権利を持っている商標なので、オリンピック以外にも使用するハクキンカイロの聖火輸送器を聖火輸送器と命名してしまうと面倒なことになることが分かりました。ハクキンカイロはたぶんそのような状況を考慮し、「聖火輸送器」という商品名をやめたのかと思います。ハクキンカイロが命名した名称には「火気運搬装置」ってのもあるのですが、これだと競技会の開会式に使われる特別な場所で特別な方法でつくられた火を輸送して大会中にずっと燃やしておくかがり火の種火にするという意味合いがぜんぜん伝わらないので、当サイトではしばらく「聖火輸送器」という語を用い、何かいい呼称が思いついたら「聖火(とか炬火とか)輸送器」みたいな名称に変更します。


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