さすがにちょっと気になる表現だったのでツッコミを入れます。
ハクキンカイロ公式Xアカウントが、『矢満登商会の頃の通称「最中」カイロの全セット画像』を送ってもらった、といって写真をアップしているのですが、
この製品は、当サイトで「小判形」と表記しているものそのもので、(正確には小判形にも火口ハメ込み式と引き出し式(スライド式)と大別して2タイプあったりするのですが)「最中」はハクキン社内用語で、製品名ではなかったはずなのです。
「最中」は、2枚の金属板を貼り合わせてタンク部を作り、(フタ部分も同じように貼り合わせていることが多いです)間に脱脂綿が詰まっているモデルのことで、金属片を最中の皮、脱脂綿を最中のあんこ部分に見立てた言い方です。でもこれは製品名として呼称されたことはなくて、何度も書くけどハクキンの社内用語です。最中と呼ばれるそして呼ぶことのできるモデルはこれ以外にも大量にあって、たとえばハクキンカイロ赤函も最中の一種です。そしてこの写真のモデルの呼称は、公式に、ハクキンカイロ公式に、当時の矢満登商會が呼称した名称は、「小判形」なのです。

これは戦前のハクキンカイロ(当時の屋号は矢満登商會)が、販売店向けに出した案内の一部です。はっきりと「小判形」と書いていることが分かります。戦時体制になって、複数モデルを並行して製造販売することができなくなった。悔しさがにじみ出る告知です。はっきりと「小判形」と、そして「小判型」ではなく「小判形」と書いていることが分かると思います。
当サイトではこれに倣い、これらの楕円形モデルを「小判形」と表記してきました。そしてまた書くけれど、ハクキンカイロが公式にこのモデルの呼称を変更したとしても、当サイトはこれらのモデルを「小判形」と呼称し続けます。そしてこの表記を変更することはありません。
(追記)ハクキンカイロ公式が上げた写真が「最中」であることは否定しません。しかしこの製品には「最中」以外に「小判形」という正式な製品名があり、公式には対外的に使用されたことのない「最中」という表記は、そして、多数の(形状も異なる)モデルも含む、どちらというと分類名に近い「最中」という表記は混乱を招くのではないか、と、当サイトは考えます。