きとうPEACOCKコレクション(7)


きとう氏のコレクション品を見ているとちょっと明らかになることがあります。それは、サイト作者以外のハクキンカイロのコレクターとか愛好者との交流が全くなかったっぽいことです。
きとう氏は大変に顔の広い方でした。というか、それくらいの人でないと、世界的なZIPPOライターのコレクターとかにはなれないのです。そのきとう氏が残したいくつものメモ書き類。そこにサイト作者の名前があります。サイト作者はこう言っていた、とか、サイト作者によると。とか。でも、それ以外のハクキンカイロを集めてそうな人から何か情報をもらっていた形跡がないのです。
もちろんこれまでにご紹介してきたとおり、きとう氏はきとう氏の交友関係を通じて、いろいろなルートからハクキンカイロを、主にPEACOCKを集めていました。でもそれは、たとえばOCCUPIED JAPANのコレクターだとか、特定のブランドのコレクターだとかが主で、ハクキンカイロを集めていた人ではなかったのです。
きとう氏のように。ハクキンカイロを好んで集めている人がどれくらいいるのかどうか。サイト作者には分かりません。少なくとも氏の没後、サイト作者にそういう方面からアプローチしてくる人はいませんでした。きとう氏が集めていたはずのハクキンカイロのコレクションはどこに行ったのだろうと、探している人もいませんでした。

小判型引出式

戦前のスライド式小判型です。「新型引出式」の文字があります。この時代のパッケージは偽造防止のエンボス加工がしてあります。よほど偽造品に困っていたようです。パッケージの差し込み部分を敢えて見えるように保存してあるのは氏のこだわりです。こんな小さな記載でも、それが重要だと考えたのでしょう。

これは購入先の人名だけでなく住所は番地まで電話番号まで全部メモしてあったのでマスク部が非常に大きくなっています。
これまた非常に細かくいろいろメモしてあるのが分かります。
サイト作者が注目するのは、一番上の「白金懐爐は」のさらに上の「登録商標」の文字の上にあるセロハンテープのつけ方です。あとではがしやすいように、テープの端に折り目がつけてあります。なんというか、本当に几帳面な人だったのがよくわかります。この折り目付きセロハンテープは、他のコレクション品でも共通していました。

メモ書きから推定すると布製の袋はきとう氏の手元に届いた時点で既になかったようです。ベンジンカップ(当時の名称は定量器またはコツプ)はベークライト製(樹脂製)です。ベークライトは古くからある合成樹脂で、古い方には黒電話がこの樹脂でできていたと言うと分かりやすいかと思います。当時としては電話機くらいしか使われていない新素材だったのかもしれません。今でも鍋の持ち手やフタのつまみ等に使用されています。

黒いのでよく見えませんが「ハクキンカイロ」「定量器」と、右書きで2行に分けて書いてあります。
この時代の定量器は、当サイトにも写真を出してあるアルミ製、陶器製のほか、このベークライト製(樹脂製)のものがありました。このモデルはアルミ製とか何年製はベークライト製とかいう区別があったわけではなく、同時期に3種を同時に作っていて、できあがってきた順に使っていたようです。物資が豊富にある時代ではないし、部品製造工場の生産能力の限界みたいなものもあったかもしれません。
現代だったらベークライトは嫌だアルミのに交換しろとかクレーマーが出そうな気もしますがカイロ本体の性能に変化があるわけじゃないので当時はこれで済んでいたのでしょう^