ヤニ


今回はヤニの話をします。ただ、これをヤニと呼んでいいものか。少なくともこれはハクキンカイロ公式の用語ではなくて、当サイト作者が勝手に呼んでいる呼称です。

ヤニは漢字だと「脂」とも書きますが、ハクキンカイロにつくヤニは油ではなさそうです。

ヤニ

写真撮ったときはもうちょっとはっきり分かる感じだったのですが相変わらず写真の撮り方が悪くてすいません。火口の裏の金具にこびりついている黒っぽいもの、これをサイト作者はヤニと呼んでいます。
このヤニの正体は何か。それは、燃え切れなかったベンジンのカスです。
ハクキンカイロの燃料は炭化水素、具体的には炭素と水素の化合物です。それを白金触媒によって空気中の酸素と反応させ、二酸化炭素と水になるときの反応熱を利用しているわけですが、炭素と水素では反応のしやすさがだいぶ違います。具体的には水素のほうがずっと反応しやすく、炭素はそれに比べると反応しにくいです。
アウトドアを趣味にしている方で、ガソリンバーナー、灯油バーナー(ケロシンバーナー)などを使っている方だとわかりやすいかもしれません。使い終わったあと、鍋底に煤がこびりつきます。水素より炭素のほうが反応しにくいのです。アルコールバーナーを使用しているときも、エタノールのような炭素を多く含むアルコールを使用した場合、煤がつきます。

ってことは、この写真に写っているのはヤニではなくて煤なのでは? と思われる方もいらっしゃると思いますが、このヤニ、ついたときはネバネバしていてまさにヤニと呼びたくなるようなしろものなのです。写真ではもう乾いてしまっているのでネバネバ感がありません。

ヤニはこのように火口の底の金具の底によくつきますが、この金具の上部にもつきます。また、タンクのクチの部分あたりにつくこともあります。べっとりと、ちょうどカラメルソースがへばりついたときのようなつきかたをします。

このようなヤニはどうして生じるのか。理由はおおざっぱに言って2つあります。1つめは、燃料に含まれる不純物が悪さをしている。ベンジンの成分は、単純な炭化水素だけではありません。それ以外の不純物(や重質成分)を反応させようとしたとき、白金触媒はうんと頑張ったけど全部を反応させられなくてヤニが残った。2つめの理由は触媒の劣化です。ハクキンカイロの触媒は使っていると劣化します。肝心の白金部分にゴミがつくとそれだけで劣化しますし、触媒がボロボロと崩れると単純に量が減ってパワーが減ります。劣化した触媒が頑張ってベンジンを反応させようとしても、全部を反応させることができなくて、反応しきれなかった分がヤニになって残るというりくつです。
実際、触媒が劣化してくると、ヤニが増えます。(触媒が劣化してくると、点火に失敗したり、あまり暖まらなくなったり、異常に持続時間が延びたりするので、ハクキンカイロを使い込んでいるとある程度分かります)

サイト作者の感覚ですが、最近はヤニがつきにくくなったように感じます。火口が改良されてヤニがつきにくくなったのかもしれないし、燃料から不純物を分離できるようになって、火口への負担が減ったからかもしれません。サイト作者的には燃料から不純物が減ったからじゃないかと思いますが、そこまできちんと成分を調べられるような機器もないので推測のままです。


“ヤニ” への2件のフィードバック

  1. 明けましておめでとう御座います。
    カイロ本体や火口はニッケルめっきですよね。
    ヤニの正体は硬化油(水添されたベンジン)じゃないですか?
    精製時に硫酸洗浄されているベンジンに油脂や不揮発物なんて残ってない筈ですし、炭素数の少ない炭化水素を触媒燃焼させてもヤニなんて発生しないと思います。

  2. 連絡ありがとうございます。連絡をもらってもう一度いろいろ調べました。原油を精製して硫黄分など不純物を除去してさらに水素化して粘度を上げた鉱物油がグリースの原料になるらしいので、ヤニの正体は水素化された炭化水素かもしれません。いずれにしても近年(ここ5,6年くらい)はヤニが全然出なくなったので、近年は不飽和炭化水素は除去しているか既に水素化されていてヤニが出ないのかもしれません。

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